海外情報
2026年02月20日
海外情報(2026年2月分)
1. FEVE会長が欧州指導者に緊急行動を要請
2月11日 欧州ガラス連盟(FEVE)のミシェル・ジャンヌッツィ会長は、ベルギーのアントワープで開催された欧州産業サミット(European Industry Summit)で、欧州の産業基盤を守るために欧州の指導者たちが緊急行動を取るよう要請した。同氏は、容器ガラス分野では、2022年のピークから生産量が大幅に減少しており、欧州各地で工場や溶解炉の閉鎖が進んでいる結果、産業能力、戦略的技能、高品質な雇用が恒久的に失われている現状を説明し、強い欧州産業無くして強靭で安全かつ力強い欧州は存在しないと述べた。以下は同氏講演の要旨。
| ・ | 高止まりするエネルギー価格や炭素コストの上昇、厳しい国際競争環境により、欧州のガラス産業は深刻な圧力に直面している。特に容器ガラス分野では生産減少や工場閉鎖が進み、産業能力や雇用の恒久的損失が発生している。 |
| ・ | さらに、2026年のEU排出量取引制度(EU ETS)改定により、一部企業ではCO₂関連コストが倍増する可能性があり、投資や脱炭素化の取り組みに悪影響を与える恐れがある。 |
| ・ | FEVEはエネルギー価格引き下げ、電力網整備の加速、規制簡素化などの即時対応を求める。 |
出所: FEVE
記事詳細は以下のURLを参照ください。
| 訳者注: | 一般には所謂ダボス会議が有名だが、欧州産業サミットは、 欧州産業の将来を議論する高レベル会議で、フォンデアライアインEU議長が基調講演を行ったことで判るように産業界と政策決定者が直接対話する場となっており、競争力、脱炭素、規制改革などをテーマに議論が行われ、ヨーロッパ全体の産業戦略に影響を与える重要なイベントという位置づけの会合。 |
2. ボルミオリ・ルイジ社のハイブリッド炉
2月3日 グラスインターナショナルは、ボルミオリ・ルイジ社がEUイノベーション基金より410万ユーロ支援(約7億円:180円換算)を受け、2022年8月1日に開始したビトルムプロジェクト(VITRUM:Virtuous Innovative TRansformation of high-qUality container glass Manufacturing、)の続報を概要以下のように報じた。
ボルミオリ・ルイジ社は、ガスと電力を併用するハイブリッド型ガラス炉を開発し、プレミアム化粧品容器を持続可能に製造する技術を実用化した。イタリアのアッビアテグラッソ工場で実施された「VITRUM」プロジェクトは、部分電化炉(30%電化)、市場回収カレットの活用(最大23%)、フォアハース効率改善を組み合わせることで、今後10年間で約25,500トンのCO₂削減(現状比14%削減)を見込んでいる。気泡欠陥による3か月の遅延があったが、技術試験で解決した。欧州ではガラス生産のうち電力炉は15%にとどまっており、ハイブリッド炉は脱炭素化を加速する現実的な橋渡し技術として期待されている。
出所: glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
| 訳者注: | イノベーション基金は、EU排出量取引制度(EU ETS)によって100%賄われている。プロジェクトはWP1(契約2022年8月―2923年1月)、WP2(建設7月―10月)、WP3(稼働初年11月―2024年10月)、WP4(稼働2年11月―2025年10月)と進み、現在最終のWP4(稼働3年11月―2026年10月)に入っている。 |
3. ビートソンクラーク社の濃色アンバーびん
2月18日付けのグラスオンラインは、ビートソンクラーク社が、光による劣化(サンストライク)の影響からより強力に保護するためにアンバーガラスを更に濃い色に改良したと報じた。記事によると、この濃色アンバーびんは、米国薬局方(USP)およびEU薬局方(Ph. Eur.)に規定されたタイプⅢのびんに求められる290nm―450nmの近紫外域透過率10%以下の規定を満たしており、海外から輸入されているアンバーびんに比べ内容物保護瀬能が高いとしている。
出所: glassonline.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
| 訳者注: | 掲載記事には濃色アンバーと海外製品の光透過率曲線の比較図が掲載されている。 |
4. O-I社 戦略変更
2月18日付けの米国ガラスびん協会(Glass Packaging Insititute)のGPIスマートブリーフでPackagingDiveの2月11日付けの記事を元に以下のように報じた。
O-I社は戦略変更の一環としてノンアルコール飲料に注力する。O-I社では、ビールやスピリッツの売上が減少する中、ノンアルコール飲料とプレミアムスピリッツに注力している。同社は13%の生産能力削減を最終決定し、営業戦略の刷新を進めている。「状況は依然として厳しいものの、競争力の向上と2026年以降の生産量回復に向けた準備に注力している。」とCEOのゴードン・ハーディ氏は述べた。
出所: GPI/pakcagingdive.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
| 訳者注: | ||
| GPIのスマートブリーフはGPIウエブサイトから登録すれば入手可能で、2月18日付けのトップニュースは非常に興味深く、登録して一読される事をおすすめします。 | ||
| 記事詳細に挙げたpackgaingdive.com掲載のO-I社の2025年決算概要 | ||
| ・ | 2025 通年 売上高: $6.43B → 約 ¥9,948億円(154.77円換算)前年同期比 1.6% 減 | |
| ・ | 第4四半期:アメリカ大陸部門での出荷量が消費者行動の変化と価格面の課題から 10%減少(特にメキシコのビール・スピリッツ)。一方で、食品やノンアルコール飲料(ミネラルウォーターなど)は比較的安定。 | |
| ・ | 出荷量:2025年通年では、トン数ベースの出荷量が 2.5%減少、本数ベースは 1.5%減。 これは軽量かつ小型フォーマットのボトルへの意図的なシフトを反映したもの。 主力ビール・ワインを上回る成長が見込まれるプレミアムスピリッツ、食品、ノンアルコールビール、レディ・トゥ・ドリンク(RTD)カクテルなどの分野にポートフォリオを再編中。 |
|
| ・ | 関税の影響:2025年第4四半期は米国の貿易・移民政策の変化が消費に影響し、米国とメキシコのバリューチェーンで在庫調整が生じ出荷にも重荷になった。2026年第1四半期は、前年同期の関税影響による前倒し購入もあり、厳しい見込。 | |
| ・ | 生産能力と営業組織再編:2026年中頃までに既報の生産能力の 13%削減を最終調整中。最終調整で残っている措置は主に欧州で行われている。また、約10〜15年ぶりの営業組織の刷新にも取り組んでおり、新しい営業モデルを展開しつつ、特に第4四半期に注目すべき勢いが出ることを期待。 | |
5. AGC社が有機ランキンサイクル(ORC)発電設備を導入
| (1) | 1月29日 AGCアジア社は、1月9日にAGC板ガラス・タイ(AGC Flat Glass Thailand:AFT)のサムプラカン工場(Samut Prakan)に設置した、1.8Mwの有機ランキンサイクル発電設備のお披露目を行った様子を報じた。これは日本の環境省のJCM補助を受けたタイ国との国際共同事業。
出所: agc-glassasia.com 記事詳細は以下のURLを参照ください。 注:記事からORC設備は、三菱重工が2013年に買収したイタリアのTurboden社によると思われる。他にタイ側からはGreen Tech Solution社(バンコク)が参加している。 |
| (2) | 1月30日 グラスインターナショナルはAGCヨーロッパ社がフランス・セアンブーズ(Seingbouse, France)のフロートガラス工場に、E.ON社の協力を得て1.3MWの有機ランキンサイクル(ORC)設備による廃熱回収発電と、合計7.8MWpの太陽光発電設備を導入し、年間約15GWhの脱炭素電力を生産、これにより年間約900トンのCO₂排出を削減と報じた。プロジェクトは長期PPAモデルで運営され、E.ONが設備投資・建設・運営を担い、AGCは初期投資なしで固定価格の電力を利用できる仕組みとなっている。本事業はフランス政府の「France Relance」計画の支援を受けており、AGCとE.ONの欧州における継続的なエネルギー効率化協力の一環。
出所: glass-international.com 記事詳細は以下のURLを参照ください。 注:ORC設備はE.ON社が設置したが、同社には独自のORC技術が無い様子で第三者設備と思われる。 |
| 訳者注: | 1月末にAGC社がORCを導入したニュースが立て続けに出たので紹介する。 |
6. グラスフューチャーズの次世代産業会議
2月13日 グラスインタ-ナショナルはグラスフューチャーズが3月18日にセントヘレンズで次世代産業会議(Next Generation Industry Conference)を開催すると報じた。この会議はAIに焦点をあてたもので、以下のようなプログラム/話題提供が予定されている。
| ・ | シーメンス社:設計、シミュレーション、製造、運用にAIを組み込む産業用AIオペレーティングシステムの開発を概説。 |
| ・ | Lucideon社:AIと機械学習が材料イノベーションを加速させ、製造性能を最適化の紹介。 |
| ・ | Şişecam(シシェカム)社:14か国45工場でAIが導入され、廃棄物や排出削減、12以上の生産ラインでのリアルタイム欠陥検出を含む方法を実演します。 |
| ・ | グラス・フューチャーズAIプロジェクトの概要 |
| ・ | 「製造におけるAI」に関するパネルディスカッション(参加者) NVIDIA、F.I.C.(UK)、リバプール大学バーチャルエンジニアリングセンター(VEC) オプション:グラスフューチャーズ施設見学 |
出所: glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
| 訳者注: | 参加登録は以下からできる。 https://www.eventbrite.com/e/next-generation-industry-conference-tickets-1978410732759?aff=oddtdtcreator |
